<玉門(女性器)に歯の生えた女がいる。
この女とセックスした男は無惨に食い殺されてしまう。
こんな怖い昔話が、日本の各地に残っている。

例えば、庄屋の一人娘の話……

この娘は絶世の美人だったが、なぜか男運に恵まれなかった。
続けて3人の婿を取ったのだが、全員ともに初夜の床で悶え死んでしまったのだ。
そんなわけで、もはや婿の希望者は現れず、
「身分の上下にかかわらず、望む者は婿にする」
という高札までもが立てられた。
それを見た旅のお坊さんが屋敷を訪ね、その日のうちに祝言をあげて初夜の床についた。

しかし、さすがは信心深き者、「初物は御仏に捧げなければ……」と鉄の仏像を取り出し、その頭部を玉門に当てがった。
対する娘は、てっきりお坊さんの一物(男性器)だと思い、腰を揺すったので、仏像は自然と体内に没入した。
その瞬間、バリンと玉門の歯が折れ砕け、めでたく娘は「普通の女」になったという。

実はこの話、医学的に裏付けがあるのだ。
『鎖陰(さいん)』と言って三日月形やリング状に張った処女膜が強すぎて、歯のようにイチブツに食い込み、竿を傷つけてしまう恐ろしい症例。

そしてこの症例の噂が変形して『食わず女房』の話が生まれた。
「昔々、飯を食わない女房がいた。しかしその正体は山姥(やまうば)で、たくさんの握り飯をこしらえ、髪の毛に隠れた頭の大口へ放り込んでいた」
子供向けの絵本にはこんな感じで書かれているが、それはあくまで子供向けにアレンジされた話。

黒い毛に隠れた口は、まさに「鎖陰」のシンボルであり、そこに握り飯を入れることは、本番行為と見るべきなのだ。
つまり『食わず女房』の話は『鎖陰(さいん)』の女と結婚した男の物語と言える。






















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